ここでは数値計算で用いる(Excel内では、「数学/三角関数」「統計関数」に分類されている)ものの中から、ごく基本的なものを解説します。
SUM関数が合計を求めるためのものであることは基礎の基礎でも触れましたが、もう少し詳しくこの関数を解説します。
例1:=SUM(A1:A5)
A1からA5までの連続するセルの合計値を求める
引数として通常は集計したいセル範囲を指定します。
上例のようにコロン(:)で区切れば連続するセル範囲を指定することになり、カンマ(,)で区切れば個別のセルを指定することになります。
連続と個別を組み合わせて指定することもできます。
例2:=SUM(D3,D7:D10)
D3と、D7からD10までの連続するセルの合計値を求める
【便利知識】
「=SUM(A1:A5)」は合計の数式 「=A1+A2+A3+A4+A5」 と同じ意味ですが、集計範囲に、文字列、論理値、空白のセルが含まれていた場合、SUM関数ではそれらのセルを無視して計算するのに対して、数式ではエラー(#VALUE!)になります。
=SUM(範囲)
AVERAGE関数は単純平均を求めるのに使用します。意味的には「mean」と名づけるべきという人もいます。
例3:=AVERAGE(A1:A10)
A1からA10までの連続するセルの平均値を求める
平均値を求めるための分母(処理対象のセルの数)は、Excelが自動算定します。
【便利知識】
文字列、論理値、空白のセルは無視して計算します。
0(ゼロ)はデータ数に含まれますが、空白セルはデータ数には含まれません。
Excelの設定で、0(ゼロ)の値のセルを空白で表示する場合がありますが、同じように見えていても、セル値が0(ゼロ)と空白では、AVERAGEの計算結果が異なることにご留意ください。
【便利知識】
表示される値は表示桁数に四捨五入された値となります。
小数点以下の表示桁数は、ホームタブの「小数点以下の桁数を減らす」「小数点以下の桁数を増やす」アイコン、あるいは「セルの書式設定」で変更します。
【便利知識】
表示桁数が特に設定されていない場合、Excelは割り切れる数値以下の0(後ゼロ)の文字は表示しません。
表内のデータ表示が不揃いとなってしまう時は、小数点以下の表示桁数を揃えた方が見栄えが良くなります。
【便利知識】
表示桁数が特に設定されていない時は、Excelはセルの幅に納まる範囲で、値に応じて小数点以下の桁数を調整します。
割り切れない値で、十分幅がある時は、最大小数点以下8桁で表示されます。
【便利知識】
Excelは最大でも小数点以下15桁(正確には整数部と小数部を合わせて15桁)までの数値しか扱えません。ですので厳密な数字を扱う科学計算などには不向きとされています。
=AVERAGE(範囲)
MAXは最大値、MINは最小値を求める関数です。
例4:=MAX(A1:A10)
A1からA10まで連続するセルの中での最大値を求める
MAXの代わりにMINと記述すると最小値を求める関数となります。
=MAX(範囲)
=MIN(範囲)
ROUND関数は四捨五入に使用します。
例5:=ROUND(B10,2)
B10のセルを四捨五入して小数点以下2桁を求める
ROUNDの代わりに「ROUNDDOWN」を使えば、税金の計算などによく出てくる切り捨てができ、「ROUNDUP」を使えば、切り上げとなります。
2番目の引数には四捨五入(切り上げ、切り捨ても同じ)後の小数点桁数を指定します。
「0」とすれば、整数の表示になります。「1」だと小数点以下1桁の表示となります。
【便利知識】
「-1」とすれば、10の位で丸めた数字で表示されます。
【便利知識】
AVERAGE関数は表示の際に自動的に四捨五入処理されてしまいますので、切り上げ(あるいは切り捨て)の表示をしたい時は、ROUNDUP関数(あるいはROUNDDOWN関数)とAVERAGE関数を組み合わせます。
例6:=ROUNDUP(AVERAGE(A1:A5),1)
A1からA5までのセルの平均値を切り上げで小数点以下1桁表示する
=ROUND(数値,桁数)
=ROUNDUP(数値,桁数)
=ROUNDDOWN(数値,桁数)
INT関数(語源はINTEGER)は整数部分を取り出す時に使用します。
正確に言えば、Excelは引数に指定された数値を超えない最大の整数を返します。
例7:=INT(B8/1000)
セルB8の値を1000で割った整数を求める
【便利知識】
引数に指定された数値が負の値の場合には、その数値を超えない整数値、つまり小数点以下がある時には整数部分を-1した数値となります。
例8:A6のセルの値が -11.5 の時、=INT(A6)は -12 となる。
例9:A6のセルの値が -11 の時、=INT(A6)は -11となる。
【便利知識】
INT関数とROUNDDOWN関数の小数点以下切り捨て(第2引数に0を指定)は、正数(プラスの数)を扱う時は、同じ結果になりますが、負数(マイナスの数)を扱う時は、値が異なります。
例10: B8のセルの値が「1500」の時、
INT(B8/1000) ⇒ INT(1.5) ⇒ 1
ROUNDDOWN(B8/1000) ⇒ ROUNDDOWN(1.5,0) ⇒ 1
例11: B8のセルの値が「-1500」の時、
INT(B8/1000) ⇒ INT(-1.5) ⇒ -2
ROUNDDOWN(B8/1000) ⇒ ROUNDDOWN(-1.5,0) ⇒ -1
=INT(数値)
COUNT関数は指定された範囲内で、数値データのセルの個数を取り出す時に使用します。
数値データ以外のセル(例えば文字列のセル)は個数に含まれません。
COUNTA関数は指定された範囲内で、数値データに限らず、文字列や数式など、何らかの形でデータ入力されているセルの個数を求める時に使います。
COUNTBLANK関数は指定された範囲内で、空白セルの個数を求める時に使います。
例12:=COUNT(A1:A10)
A1からA10の範囲のセルの中で、数値データを含むセルの個数を
求める
【便利知識】
未入力セルと「""」(長さが0の文字列)ではカウントのされ方が違います。
COUNT 未入力セル:数に含まない "":数に含まない
COUNTA 未入力セル:数に含まない "":数に含む
COUNTBLANK 未入力セル:数に含む "":数に含む
=COUNT(範囲)
=COUNTA(範囲)
=COUNTBLANK(範囲)