スパム (spam) とは受信者の意向を無視して、無差別かつ大量に一括してばらまかれる、電子メールやSNS上のメッセージのことです。電子メールで送られてくることが多く、迷惑メールと呼ばれるものはスパムの典型的なものです。TwitterやFacebookなどのSNS上にも登場し、今では、インターネット上での迷惑行為全般を指すようになりました。
【豆知識】
スパムという用語は、豚肉の缶詰の「 スパム(SPAM)」に由来しています。
イギリスのコメディ集団モンティパイソンの「スパム」というコントがきっかけで、スパムという用語が使われるようになりました。このコントは、スパムが嫌いな夫婦がレストランでメニューを開くと、すべてスパムのメニュー、店員にスパムと連呼され、スパム嫌いな夫婦でも仕方なくスパムを注文してしまった、という話です。相手の迷惑を考えずにしつこく何度も繰り返されるところから、迷惑メールの語源としてスパムが使われたようです。
この言葉は40年も前にある商品の広告宣伝のために使われ始めました。大量発信可能な迷惑メールは、やがて爆発的に広がり一般化して行きました。今も廃れていないことが、新しい宣伝・広告手法としてスパムが有用であった証明です。
【豆知識】
スパム(spam)メールに対して、スパムではないメールのことを、スパムになぞらえてハム(ham)メールと呼びます。一見するとスパム(自分が承諾していないのに送られてくる広告メッセージなど)に見えるメールが、よくよく考えてみると、実は自分が意識的・無意識的に関わらず、メールを受け取ることを承諾していた、というようなものを言います。オンラインで物を買ったり、予約したりする際に、サービス提供者から、情報や案内の配信を「同意する」に予めチェックが入っている場合も少なくありません。
ハムメールも数多いと、受信リストの中で本当に必要なメールが埋もれてしまい見落としてしまう、というようなことが起こりがちです。時々は受信リストをチェックして、不要なハムメールを「購読停止」することをお勧めします。
スパムの内容と現れ方
スパムメールの具体例
迷惑メールは開かない、リンクにアクセスしない、返信しない
まずは、メールのタイトルを見て、「お得です!」「危険性があります。安全を確認しましょう!」的に人の気を惹こうというようなメールは、開かないことをお勧めします。メールを開いただけでウイルスなどに感染する場合があるからです。
また本文の中で同様に人の気を惹こうとしているメールも、不用意にメール内にあるリンクにアクセスする、メール返信で連絡するなどを控えるべきです。
スパムメールの中には、著名な企業や組織からのメールを装いユーザの油断を誘う「騙りメール(なりすましメール)」もあります。
「本人確認のため、IDとパスワードを入力してください」という類のメールでうっかりその入力をしてしまうと、そのID、パスワードで様々なサービスのアカウントを乗っ取られて、財産を失いかねません。気をつけましょう。正規の企業からID、パスワードなどの個人情報を求めるメールが届くことはまずありえません。
その他にも、以下のような事例があります。
<楽天市場のFAQより抜粋>
・存在しない取り引き番号を記載して注文確認メールを送りつける
・存在しない委託運送状を送りつける
・「NMB家電」となのり、キャンセル処理を催促する
・「楽天リサーチ」等を名乗り、控訴すると脅してくる
・「樂天市傷」など、楽天市場の名を詐称している
・【楽天市場】と名乗り、怪しいページにアクセスさせる
・【楽天市場】と名乗り、存在しないグルメニュースを送りつける
迷惑メールフィルターを設定する
GmailなどのWebメールサービスや、outlookなどのメールソフトの多くは、迷惑メールフィルター設定機能を備えています。
初期設定を変更しなければ、迷惑メールと判断されるものは、自動的に「迷惑メール」フォルダーへ移動するように設定されているものがほとんどです。迷惑メールフィルターが無効になっているようであれば、有効に戻すことをお勧めします。
なお、迷惑メールフィルターが完璧ということはあり得ません。スパムメールが見逃されることはまだしも、正しいメールを迷惑メールと見誤って「迷惑メール」フォルダーに移されてしまうこともおきます。Webメールサービスの迷惑メールフィルターで引っかかった場合、いつまでたってもメールが届かず、重要な連絡を受け取れないということもあり得ます。時々は、Webメールサーバ上の「迷惑メール」フォルダーをチェックして、そのようなことが起きていないかを確認しましょう。特定の送り主からのメールがいつも迷惑メールと判断されているようならば、迷惑メールフィルターの設定を手動で調整しましょう。(具体的な設定の仕方は各Webメールサービスのマニュアルを参照してください。)
スパムメールが依然として存在する中、最近はスパム行為にTwitterやFacebook、LINEといった人気SNSやコミュニケーションアプリを悪用するケースが目立っています。「インスタ映え」の流行語に象徴される写真投稿主体のInstagramでも発生しています。スマホやタブレットの普及を背景に、多くの利用者を抱える人気のSNSやアプリが、攻撃者の格好の標的になっているのです。
不正なWebサイトへ誘導するスパムツイートやメッセージ、想定外の個人情報にアクセスするスパムアプリなどがその例です。スパムアプリの誘導先でアプリ連携を承認すると自身のアカウントをアプリ開発元にコントロールされてしまう恐れがあります。
例えばTwitterでは、「あなたの写真が載っているよ」などと書き込んだリンク付きのダイレクトメッセージからTwitterの偽ログインページへ誘導し、そこに入力されたアカウント情報を盗み出す手口があります。Facebookでは、見知らぬ美男・美女の写真付きスパムアカウントが多数作成されており、彼らからの友達申請を承認すると、個人情報を悪用されたり、悪質な出会い系サイトへの登録を促されたりします。LINEでも、芸能人のマネージャーを装ったメッセージで出会い系サイトへ誘導し、情報や金銭をだまし取る手口が確認されています。
Instagramでは、特に人気「女性」芸能人や読者モデルの方の投稿に対してコメントの形で書き込まれるものが多いようです。
攻撃者は人気のSNSやアプリに便乗し、あらゆる手段でユーザを罠にかけようとします。つい返信したくなるようなメッセージが送られてきても、無視するのが鉄則です。あまり度が過ぎるようなら、それそれのSNSのFAQを参照して、SNS運営者にスパム報告をしましょう。
アプリ連携による個人情報の漏えい
最近、注目を集めているのが、SNS上でのアプリ連携をきっかけにプライバシー情報を漏えいさせてしまうリスクです。
例えば、Twitterでは、昨年末から「Plays Now」と呼ばれるスパムアプリが流行しています。タイムラインに流れてきた動画のリンク、あるいは再生ボタンを押すと表示されるページ上で「Plays Nowがあなたのアカウントを利用することを許可しますか?」と尋ねられた経験はありませんか。そこで許可ボタンを押すとアプリ連携を承認したことになり、移動先の動画サイトで再生した動画のタイトルとリンクを勝手にツイートされ、フォロワーに動画の視聴状況が筒抜けになってしまいます。
Facebookでは、「●●診断・●●鑑定」といったアプリをリンク付きで紹介する投稿に注意が必要です。個人情報へ必要以上にアクセスしようとするスパムアプリの可能性があります。
アプリ連携へ誘導するリンク付きの投稿には、ついクリックしたくなるような表題が付けられています。リンク先の情報を見たいがあまり、表示されるアプリ連携の確認画面をよく見ず安易にクリックすることのないよう注意が必要です。
実際、リンク先でアプリ連携を許可すると、そのアプリにプロフィールや友達リスト、メールアドレス、位置データへのアクセスや、メール送信、投稿の権限などを与えることがあります。