第5世代移動通信システムのことを5G(5th Generationの略)と呼びます。現在主流の4Gに続く無線通信システムのことです。
携帯電話が登場して以来、移動通信システムは約10年間ごとに進化を続けています。
5Gは2020年を元年とするような次世代の規格と言えます。
2015年9月に国際電気通信連合(ITU-R)が発行した小冊子に初めて5Gの性能要求が記載され、その後3Gの時代から継続して移動通信方式の標準化を図るプロジェクトである3GPPによって、5Gは定義されました。現在標準化を図っている団体は複数あり、日本では電波産業会が5GMFという団体を設立しています。
5Gは、携帯電話・スマートフォンに代表される単なるモバイル通信の後継システムというだけでなく、IoT、AI、ビッグデータ、ロボットなどを活用して、自動運転技術の実現や少子高齢化の問題、経済的格差の是正など、多くの社会問題の解決を目指す「Society5.0」実現のための基盤テクノロジーなのです。
そのため、5Gでは、
であることはもちろんですが、
をも実現することが求められています。
総務省がYouTubeにイメージビデオを掲載しています。右に、いくつかのビデオを掲載します。
詳しくは、以下を参照ください。
https://www.youtube.com/playlist?list=PL7PI1l61-EVLG2pSuUkpXm06IqMFYWbp6
ちなみに平成30年度の5G実証実験の動画として以下が登録されています。
4Gまでの通信技術においては、通信事業者自身がサービス提供するために発展してきましたが、5Gはそれが難しくなります。
なぜなら、IoTは、必ずしも大量のデータ通信(=通信事業者の収益性が高い)を必要としない分野が少なくないからです。例えばスマートメータのように、多数の機器と接続する一方で、少量ながら確実な通信(=収益性が低い)が求められることが多くなります。
通信事業者は、5Gの設備投資の回収をするためにも、いち早くビジネス的にうまみのあるIoT分野のプレーヤーとパートナーシップを組み、収益確保の方向性を見い出していく必要があります。
日本では、5Gに対しては、3.7GHz帯、4.5GHz帯および28GHz帯という従来に比べて非常に高い周波数帯域を割り当てています。
周波数が高くなるほど伝送できる情報量が増え、高速伝送が可能となりますが、直進性が高まり、遮蔽物などを避けることが難しくなるため、長距離通信に適しません。
そのため、高い周波数を使用する5Gでは、屋内利用を実現するために部屋毎に基地局を設置するなど、周密な基地局整備が不可欠です。
また、5Gによる超高速サービスを可能とするためには、基地局まで光ファイバを敷設するなど、広範囲のブロードバンド整備も不可欠です。
通信事業者 | 帯域 | 枠数 | 割当周波数 |
NTTドコモ |
3.7GHz 4.5GHz 28GHz |
1枠 1枠 1枠 |
3600MHz 4500MHz 27.4GHz |
KDDI 沖縄セルラー電話 |
3.7GHz
28GHz |
2枠
1枠 |
3700MHz 4000MHz 27.8GHz |
ソフトバンク |
3.7GHz 28GHz |
1枠 1枠 |
3900MHz 29.1GHz |
楽天モバイル |
3.7GHz 28GHz |
1枠 1枠 |
3800MHz 27.0GHz |
※ 3.7GHz帯と4.5GHz帯 1枠当たり100MHz幅
※ 28GHz帯 1枠当たり400MHz幅
2017~2019年
○5G実現に向けた研究開発・総合実証試験
要素技術確立に向けた研究開発や具体的な
フィールドを活用した実証試験を実施
○ 国際連携・国際標準化の推進
主要国と連携しながら、5G技術の国際的な
標準化活動や周波数検討を実施
2019年
○ 周波数割り当て
平成31年4月に、5G用周波数割当てを実施
○ プレサービス (ラグビーW杯)
2020年
○ 商用サービス開始
2021年
○ 全都道府県でサービス開始
~2023年
○5年以内に全国の98%のメッシュで基地局展開
総務省によれば、次のような5Gへの移行シナリオが想定されている。
【2020年】
通信需要の高いエリアを対象に、5G用の新しい周波数帯を用いた「超高速」サービスの提供が開始される。
新たな無線技術(NR:New Radio)に対応した基地局は、LTE基地局と連携する構成(NSA:Non Standalone)で運用される。
【202X年】既存周波数帯域へのNR導入が進展し、LTE基地局とは切り離した構成(SA:Standalone)での運用が開始され、超高速、多数同時接続、高信頼・低遅延などの要求条件に対応した5Gサービスが全面的に提供される。
5Gの広範な全国展開には時間を要する一方、5Gの基盤を必要とするIoTのニーズは高く、しかもそれらの多くは局地的なものです。
ローカル5Gは建物内や敷地内で自営の5Gネットワークとして活用するというもので、以下の利点が期待されます。
そこで総務省は、2019年12月に一部の周波数帯で先行して制度化し、免許申請の受け付けを開始するとともに、「地域課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証」実験を実施しています。
Beyond 5Gとは、2030年頃の導入が見込まれる、いわゆる「6G」のことで、諸外国では既にその検討が始まっています。日本でも総務省が2020年1月に第1回の「Beyond 5G推進戦略懇談会」を開催しました。
この懇談会の資料によれば、Beyond 5Gでは、 5Gの特長(超高速、超低遅延、多数同時接続)の更なる高度化に加え、高信頼化やエネルギー効率の向上など新たな技術革新が期待されており、AIやクラウドコンピューティングを利用した信号処理についても、今後無線部分と一体となった技術開発が進められる見通しであるとされています。