ブラウザ

ブラウザ(Browser)とは、パソコンやスマートフォンを使ってインターネットに接続し、ネット上で公開されているWebページやシステムなどを閲覧・操作するときに使うソフトウェアの総称です。Webブラウザあるいはインターネットブラウザという呼び方が正式なのですが、一般的には単にブラウザといえば、Webブラウザのことを指します。

 

英語のBrowse(閲覧する)の名詞形(Browser)が語源で、閲覧ソフトあるいは閲覧器とでも訳せば、ブラウザの役割がご理解いただけるかと思います。

 

具体的には、Webページを画面表示したり、ハイパーリンクを辿ったりするなどの機能を備えています。単に文字テキストだけでなく、画像、動画、音声など、種々の情報リソースを処理できるように、どんどん進化してきました。

 

ブラウザはインターネットを介しての利用を第一の目的としていますが、プライベートネットワーク(イントラネット)内の Web サーバや社内システムの情報利用にも活用できます。多くの企業や団体が、基幹システムの専用端末の代わりに、ブラウザを活用した専用端末ソフトを開発して、パソコンで基幹システムを扱えるようにしています。

 

ブラウザの働き

大まかに言えば、ブラウザには3つの役割があります。

  • URL(Uniform Resource Locator)に基いて、サーバと通信して情報資源を取り寄せる
  • 取り寄せた情報資源をその種類 (HTML/XML 文書、画像など)に応じて、構文を解析する
  • 構文解析の結果を基に、文字や画像を適切に配置し、文字の大きさや色を調整するなどして、最終的に人間のための表示を行う

URLには先頭部分にサービスの識別子が付いていて、おなじみのHTTP(HyperText Transfer Protocol)のほかにも、ファイル転送用のFTP(File Transfer Protocol)などがあり、どのブラウザも様々なプロトコルに対応できるようになっています。

 

HTML (HyperText Markup Language)の場合、ブラウザではタグ付けされた(Markup)テキストから人間にわかりやすい文書に変換を行います。一般にブラウザでは、HTML 以外でもWebページに含まれる任意の内容(画像・動画・音声・XMLなど)を表示でき、さらに、一部のブラウザには、Flash アプリケーションや Java アプレットなどに対応するプラグインを用意しているものもあります。未対応の種類のファイルに遭遇した場合は、表示するのではなくダウンロードして保存を促すような動作をします。

 

主なブラウザ

主なブラウザとしては、Internet Explorer(Microsoft)、Edge(Microsoft)、Firefox(Mozilla Corp.)、Chrome(Google)、Opera(Opera Software)、Safari(Apple)などがあります。

また、Android OSのスマートフォンやタブレットには、Android OSの標準ブラウザが予め搭載されています。

 

世界的には、中国発のUC Browser、韓国Samsung独自のSamsung Internetも一定のシェアを占めています。

 

ブラウザの歴史

黎明期

1980年代の終わり頃に、ブラウザの開発が始まり、最初のブラウザ(WorldWideWeb、World Wide Webとの混同を避けるために、後にNEXUSと改名)が公開されたのは1991年でした。ブラウザとHTMLの編集機能を備えていて、文字テキストだけを表示できるものでしたが、ハイパーリンクで別のサーバのファイルにもアクセス可能にしたことが特長です。

MosaicとNetscape

1993年に、米国立スーパーコンピュータ応用研究所(NCSA)によりMosaicが登場しました。Mosaic は画像が扱える最初のブラウザの一つで、これによってWebの利用者が激増しました。Mosaic 開発のチームリーダであったマーク・アンドリーセンはその後まもなくNetscape社を設立し、1994年に、Mosaic から派生した Netscape Navigator (単にNetscapeと略されることも多い)をリリースしました。このブラウザは瞬く間に世界中に広まり、最盛期には全てのウェブにおいて9割もの利用率を占めるようになりました。

Internet Explorer

Netscpe Navigatorの成功を見て、Microsoftは、 NCSAからMosaicのライセンスを引き継いで、1995年にInternet Explorer(IEと略されることも多い)を開発しました。MicrosoftはこのInternet ExplorerをWindows OSに同梱させることで、OS市場の優位性をブラウザ市場にも引き継がせ、2002年にはInternet Explorerの利用率は95%を超えるまでに到りました。

OperaとFirefox

1996年にOperaが登場しました。シェア的には大きくありませんが、携帯電話向けのブラウザとしては力を発揮しました。また、いくつかの組み込みシステム向けにも採用され、任天堂の家庭用ゲーム機であるWiiや 携帯ゲーム機のDSiなどにも搭載されました。

 

Netscape は、1998年にMozilla Foundationを旗揚げし、オープンソースとして自由な競争力のあるブラウザを提供しようと計画し、このブラウザは最終的にMozilla Firefoxとして公開されました。高機能でありながら、比較的軽く動作することもあって、それなりの愛好者を獲得しています。

Safari

AppleのSafariは2003年1月に初めてのベータ版が提供され、Mac OSや、iPhone(iOS)などの標準ブラウザとして搭載が始まりました。

iPhoneの成功で、世界的にもSafariの利用が増えています。

Chrome

2008年9月にGoogleがChromeの展開を始め、2010年代に入って著しくシェアを伸ばしました。これにより、Internet ExplorerやFirefoxの利用者数は減少していきました。

2015年時点ではChromeの世界シェアは過半数を占め、Internet Explorerを抑えて1位となりました。Internet ExplorerとFirefoxのシェアは著しく減少して、Chromeとの差が広がっています。

 

ただし、日本では、後述の通り、依然としてInternet Explorerのシェアはかなりの割合を占めています。

 

Edge

Microsoftは、Windows 10のリリースに合わせて新たにEdgeを登場させましたが、現在までのところシェアは低く、既存ブラウザと置き換わるには程遠い状況のようです。

 

ブラウザの利用シェア

StatCounterによれば、2019年9月の日本と世界における主なブラウザのシェアは以下の通りです。

ブラウザ 提供者 日本 世界
全端末 パソコン モバイル 全端末 パソコン モバイル
 Chrome Google 45.66% 59.05% 27.45% 63.72% 69.08% 62.03%
 Internet Explorer Microsoft 7.16% 11.96% 2.23% 4.99% 0.12%
 Edge Microsoft 4.95% 8.27% 2.15% 4.71% 0.04%
 Firefox Mozaic 6.09% 9.91% 0.42% 4.45% 9.54% 0.35%
 Safari Apple 32.55% 8.85% 66.61% 16.34% 7.41% 20.55%
 Opera Opera Corp. 0.62% 0.77% 0.45% 2.50% 2.40% 2.72%
Android Google 0.61% 0.75% 0.61% 0.58%