1950年代に誕生したコンピュータは、時代が進むにつれ、巨大な機械からどんどん小さくなり、同時にその機械を動かす基本ソフトウェア(オペレーティングシステム:OS)も進化していきました。
処理を司るハードウェアは、ホストコンピュータとかメインフレームと呼ばれる巨大なものから、オフィスコンピュータ(オフコン)やパーソナルコンピュータ(パソコン)という風に、主流が移っていき、また、OSも、機械ごとに専用のものから、メーカーごとのシリーズで汎用のもの(汎用OS)、さらには、メーカーの枠を超えてオープンなもの(オープンシステム)へと変化していきました。
初期のコンピュータは直結の入出力装置でしか動かせませんでした。やがて専用回線で専用端末と結んでオンラインでの利用が可能となり、さらには、イントラネットやインターネットなどの汎用のネットワーク経由で、Windows OSなどを搭載した汎用パソコンをクライアント(Client)端末とし、小型化したコンピュータのサーバ(Server)とセットで機能する、クライアント・サーバ・システム(クラサバ、C/S)が生まれました。
やがて大型コンピュータもサーバとして扱えるようになり、また複数台のコンピュータを並べてひとつのサーバとして扱うこともできるようになり、クラサバは現在、主流になっています。
後述のように、インターネットを介してサービスを利用する、ホームページなどのWebシステムや、メールサービスなども、広い意味でのクライアント・サーバ・システムなのです。
当初は単に「コンピュータ(電子計算機)」と呼ばれていた機械は、オフコンやパソコンに比較して巨大で高価なものでしたが、大企業などでは、業務が飛躍的に効率化することから、こぞって導入をしました。
メインフレーム(Mainframe)は、汎用コンピュータ、大型コンピュータ、ホストコンピュータなどとも呼ばれます。
1980年代頃までがメインフレームの全盛期でした。
UNIX(OSの一種)などのオープンシステムを搭載した小型のコンピュータが生まれ、それに切り替えていく流れ(ダウンサイジング)となった1990年代の頃から、この大型のコンピュータは「メインフレーム」と呼ばれ始めました。
メインフレームはレガシー(過去の負の遺産)とか滅びゆく恐竜とか揶揄されもしましたが、オープンシステムの良いところを取り込むなど、 ダウンサイジングと分散化の流れに対抗する形で進化を続けています。
2000年代に入って、インターネットによって処理形態が変化し、パソコンなどのクライアントを利用した分散化から、ふたたび、ブラウザの先にあるサーバでの集中処理に移りつつあります。大規模な企業・組織ではサーバの統合や仮想化が進められるようになりました。仮想化の技術はメインフレームから生まれたものです。
長年の運用を続けている信頼性、安定性、堅牢性や、処理容量などの観点から、現在でも、大企業や自治体などの大規模組織では基幹業務用に使用されています。外部からの不正アクセスなどに強いクローズドな特性も、情報セキュリティやデータの整合性の面で、オープンシステムよりも好ましいとメインフレームが再評価されつつあります。
メインフレームのメーカーは、現在、世界で6社しかありません。IBM、ユニシス、Bull(フランスの企業。ハネウェルのコンピュータ事業を買収)と富士通、日立製作所、NECの日本企業3社です。日本企業は国内向けがほとんどで、IBMが世界市場の80%を占めています。
クライアント・サーバ・システムとは、通信ネットワークを利用したコンピュータシステムの形態の一つで、機能や情報を提供するサーバ(server)と、利用者が操作するクライアント(client)をネットワークで結び、クライアントからの要求にサーバが応答する形で処理を進める方式のことを言います。
一般的には、専用のネットワークではなく、汎用のLAN(イントラネット)あるいはWAN(インターネット)を利用します。
呼び名が長いので、クラサバとかC/Sシステムと略されることが多いです。
クラサバの特徴は、サーバとクライアントで役割分担していることです。
どのような処理をサーバに行わせるのかは、様々です。代表的なものには、以下があります。
その他にも、通信を制御するためのDNSサーバやプロキシサーバ、他サーバの処理のためのデータベース部分を担当するデータベースサーバなどがあります。