アドウェア

アドウェア(adware)は、広告を意味するadvertisementと、ソフトウェアの「ウェア」をつなげた造語で、広告を表示する機能を持つソフトウェアのことです。

 

例えば、「あなたのコンピューターはウイルス感染しています」とか、「パソコンをスピードアップしませんか?」といったポップアップが出たら、アドウェアに感染したのかもしれません。

 

アドウェアの多くは「広告表示によって収入を得る」ことを目的としていて、ユーザーの意思とは無関係にフリーソフトなどと同時にインストールされ、広告を強制的に表示するような動きをします。画面に突然ポップアップウィンドウを開いて広告を表示したり、ブラウザのホームページ(起動ページ)を広告に誘導するようなページに変更したりなど、ユーザーにとって煩わしい場合が少なくありません。

 

フリーソフトなどに付随して配布されるアドウェアの場合、本体ソフトウェアの提供元にはアドウェアの導入数や広告の閲覧実績などに基づいて報酬が支払われるようです。もちろん広告主は、広告から誘導するサイトで商品の購入やサービスへの加入を期待して、その報酬を負担しているわけです。

 

アドウェアの中には、以下のように、利用者が理解して導入する類のものもありますので、必ずしもすべてがマルウェアというわけではありません。

  • ツールや本格的ソフトの評価版
  • 機能を提供する代わりに、広告視聴を求めるもの
  • 機能を提供する代わりに、ソフトウェア作者が広告収入を得るもの

しかしながら、導入時に十分な説明をしなかったり、コンピュータ内の情報を利用者に分からないよう無断で収集して提供元などに送信するスパイウェアとして動作したり、「ウイルスを検出しました」「動作が遅くなっています」など虚偽のメッセージを表示して利用者に偽のセキュリティソフトやユーティリティソフトなどを購入するよう促すといった悪質なものはマルウェアです。中でも特に悪質な一部のアドウェアはアンチウイルスソフトなどが検出・削除の対象としています。

悪質なアドウェアへの防御策は、基本的にはウィルスやスパイウェアへの対策と同じです。

 

 

アドウェア(出典:IPA)
アドウェア(出典:IPA)

アドウェア感染の症状例

  • 身に覚えのない妙なウイルススキャン結果の画面が表示される
  • 広告やアダルトサイトが出現し、閉じてもくり返し表示される
  • 不明なアイコンがデスクトップに作成され、削除してもパソコンを起動するたびに再作成される
  • ブラウザのホームページが変更されて、修正できない
  • ブラウザの検索画面が変更されて、修正できない
  • ブラウザに新たなツールバーが追加されて、削除できない
  • ブラウザのブックマーク(お気に入り)に見知らぬサイトが大量に追加されて、削除できない

スマートフォンも注意が必要

スマートフォンやタブレットでもアドウェアにも感染する可能性があります。特にアプリ配信の自由度が高いAndroid OSのものでは、不用意なアプリのインストールによってアドウェアに感染するケースが増えています。なかには、削除ができない新種のトロイの木馬型アドウェアもあるので、注意が必要です。

スマートフォンやタブレットにも、事前にセキュリティアプリをインストールしておくことに加え、アプリをインストールする時は、配信元のユーザーが信頼できるかを調べるなど、慎重さが求められます。

 

(参考)2億5,000万台が感染したアドウェア「Fireball」

ITセキュリティ業界パイオニア企業のCheck Pointが、2017年6月に、以下の発表を行い、大騒ぎになりました。

『全世界で2億5,000万台以上のコンピュータが感染した中国発の大規模なマルウェア攻撃を確認しました。インストールされたマルウェア「Fireball」は標的のブラウザを乗っ取り、自身の指示通り動く「ゾンビ」に変えます。Fireballには主に2つの機能があり、被害者のコンピュータ上での任意のコード実行(ファイルやマルウェアのダウンロードなど)、および感染したコンピュータのWebトラフィックを乗っ取り、遠隔操作して広告収入を増やすことが可能です。現在、Fireballはプラグインと追加設定を導入して広告の表示機会を増やしているだけですが、高度なマルウェア配布ツールにも容易に変貌します。(後略)』

(出典:チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ株式会社 ブログ記事

 

被害の具体的な状況や対処方法などもこの記事に書かれていますので、興味ある方はぜひお読みください。